【性格・こころの仕組み】

不安の解消の仕方

丹下坂心理カウンセラー

2020/5/8

「来月の家賃払えるだろうか」
「今の職場、大丈夫なんだろうか」
「学校続けられるだろうか」
「このままだと老後はどうなってしまうんだろう」
「どうやって家族を養っていけばいいんだ」

コロナウィルスが私たちを取り巻く前から、不安は常にこころの中にあったように思います。そして、コロナの出現で、その不安が明確になった、あるいは、的中した。今は、この「不安」で私たちのこころが覆われてしまっている、誰もがそう感じているのではないでしょうか。

結論から言うと、とても厳しい言い方になってしまいますが、不安の解決法はありません。
ただ、解消法はあります。

「解決策ないならもういいわ。これ以上、読んでも時間の無駄」
「こんな時に、こんな事、書く!?」
「専門家のくせに!」
怒りや、あきらめの気持ちが沸いてきた人もいることでしょう。

「じゃ、自分でどうにかするしかない!」
「何かいい方法ないだろうか。探してみよう!」
「もう、開き直るしかない」
闘争心に火が付いた人もいるかもしれません。

あなたは、どんな考えや気持ちが沸いてきましたか?
これが、解消法の第一段階です。

つまり、自分は、人の意見を聞いて、どんな思いが沸く人間なのか、「自分を知る」ことがまずは大切ということです。

今、ここでは、「不安の解消法」というお題についての話をしています。
タイトルを見た瞬間、色々な考えが浮かんだはずです。
読み進めていくうちに、「そうそう!その通り」と自分の同じような考えもあれば、「それはどうだろう」と、自分とは合わない考えもあったと思います。

これは、何も今回の「不安の解消法」という話題に限った話ではありません。私たちは今まで、家族、友人、職場あるいは、テレビ番組、買い物などほんのわずかな時間を共有した人等など、多くの人と会話をしてきました。
そして、そのすべてが、「そうそう!その通り」の時もあれば、「それはどうだろう」の時もあったはずです。

その色々な人との会話の中で、同じ振る舞い、同じ気持ちを抱いていませんでしたか?
言いたい事があるけれど、いつも言えない自分。
言いたい事があると、後先考えずつい口に出して後悔してしまう自分。
自分さえ我慢すればいい、辛いことを笑顔で乗り越えてきた自分。

どんな相手と、どんな会話をしても、自分のパターンというものは、決まっていませんか?
自分は、人の意見を聞いて、どんな思いが沸く人間なのか、「自分を知る」ことが、不安を解消する第一段階です。

第二段階です。
「自分のコントロールできる範囲を知る」ということです。
「不安」これは、未来に対して、沸いてくる感覚です。
もっと限定すると、単なる未来ではなく、「どうなるかわからない」未来に対して沸いてくるものです。

今、世界中を席巻しているコロナウィルス。
特効薬やワクチンが開発される日付け、終息する日付けがはっきりとわかっているとしたら、不安は少し減りませんか?

どんなに事態が長引こうと、終息する日まで、今まで得ていた同額の収入を配ります。政府からそのような宣言が出た場合、不安は一気に解消するかもしれませんね。

しかし、どうでしょう。
その日付けがやってきたら、本当に不安はなくなるでしょうか?
「もし、コロナ以上の強いウィルスが出てきたら、どうなるんだろう?」
「終息するまでに、もっと時間がかかったとしたら、どうなるんだろう?」
「元々少ない給料なんだから、この先また不測の事態が起こったとしたら、どうなるんだろう?」

不安が解消されると、また次の不安が沸き起こってくるのではないでしょうか?
この「どうなるかわからない」事態は、自分のコントロールの範囲外のことなんだ、コントロールできるのは、自分の中に沸き上がってくる気持ちの方なんだ。

少なくとも、このことが頭の片隅にあるだけで、大惨事の時に生じる大きな不安や日々の会話や生きていく中で起きる小さな不安に対処できるようになります。

そして、第三段階。
「角度を変えて見る」ということです。

私の住んでいる近所に、桜ケ丘通りという、その名の通り両脇に500メートルほど桜の木が連なる、それはそれは素敵な通りがあります。
例年GWの頃に見事な花を咲かせ、観光バスも通るほど有名な場所なのですが、今年は、コロナの影響でほとんど人通りがないようです。

さて、この桜並木ですが、どこに目がいきましたか?
多くの方が「桜の花」に目がいったのではないかと思います。
「きれいね~」
「見事ね!」
「北海道って、色が薄いのね」、そう思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

ここからが、ポイントです。
もう一度、先ほどの桜並木の写真を見てみてください。
そして、「桜の花」ではなく、「桜の木」に目を向けてみてください。

どうでしょう?
「桜の花」の時とは違う見え方になっていませんか?
と同時に、違う考えや気持ちが浮かんでいませんか?

見ている写真は同じなのに、フォーカスする場所が違うだけで、違った感覚が沸いてくるのが実感できたと思います。

不安に苛まれている時、私たちは、自分を見失い、自分のコントロールが及ばない範囲に目を向け、そして、そのことにフォーカスしています。
「自分を知り」、「自分のコントロールできる範囲を知り」、そして、「角度を変えて見る」
そうすることで、確実に不安は薄く和らいでいきます。

残念ながら不安というものは、一つが解決しても、また勝手にこころの中に次から次へと沸き起こってきます。抗うことはできないのです。ならば、うまく付き合っていきませんか?

私も日々、もがいています。一緒に、「自分を知り」、「自分のコントロールできる範囲を知り」、そして、「角度を変えて見る」、これを少しずつ、少しずつ、できるように頑張ってみませんか?


執筆者:カウンセリングMaNa 丹下坂 愛実

皆様からよせられた感想

  • つぶやきを読んで、少し前の自分自身が思い浮かびました。
    それは、新型コロナの影響が実生活にも広がって2ケ月ほど過ぎた頃
    頭全体がギューッと締めつけられる不快感と肩の強い張り感が現れました。

    未知の感染症への不安はありつつ、色々な方の支えもあって、「割と前向きに暮らしている❗」と思っていた私は、戸惑いました。
    そして、「このまま、また体調が悪くなるのでは…」と押し寄せる不安

    その時、私にできること
    それは、湧き上がる思いの一つ一つ、身体のあちこちの感覚に意識を向けることでした。

    そして、気づいたのが
    「こんな時だから、しっかりしなくちゃ!」という思いに突き動かされていたこと

    (そう言えば、これまでも同じような思いで、色々なことに愚直に取り組んできたな…)

    とはいえ、特別なことをしていたわけではありません。外出などの予定がほぼ白紙状態…の中でも規則正しい生活をし、手の届きにくい所の片づけや適度な運動などをしていたくらい

    表面上の行動はさほど変化していないのに、私の心の持ちようは、コロナ以前とずいぶん違っていました。

    私の中の『頑張り屋』が先頭を切って気合いを入れ、『面倒くさがり屋の私』や『のんびり屋の私』がすっかり影をひそめる感じ

    「大変な思いをしている人がたくさんいる状況で、ダラダラするなんて申し訳ない…」

    丹下坂先生のつぶやきは、自分と向き合うポイントをとても分かりやすく教えてくださいました。

    今は、社会の出来事に思いを寄せながら、自分のことももっと大切にしたいと思っています。

    今回の経験を失敗と捉える見方もあると思います。でも、私は「自分の心の癖を再認識できた」と受け取りました。だから、自分にとってかけがえのない宝ものが、また一つ増えたと感じています。
  • ある景色を観ても視点を変えてみると違う感じ方をする、、、普段意識しないとできない事ですね。あらためてとても良い教示をいただきました。
  • つぶやきとても助かりました

    頭の中で、もやもや☁☁☁☁☁☁☁文書になると
    なるほど✖100になり、整理が出来ました。

    自分の特性も見えてきて
    喉のつかえが取れていく感覚になり、課題も見えてきました

    ありがとうございます❗❗
  • 視点を変えて、自分を見つめ直し、自分を知り、自分をコントロール出来る様になる事、なかなか時間がかかりそうですが、日々心がけてみます。
  • 誰しも"自分を含めて皆んな"
    苦しい時だと、一つの結果(今だとコロナが終息し経済や雇用が安定し、また元の生活に戻る)
    しか見なくなってしまうけれど…
    今 苦しい時だからこそ
    もがいたり苦しんだりして考えた事や行動が自分や家族の幸せにつながるかもしれないし、誰かの大切な気づきになるかもしれない。
    苦しい時だからこそ良いアイディアが浮かんでくるかもしれないなと思いました。
    今の状況は私も皆んなも辛いけれど
    辛いだけじゃなくて違う見方も出来れば心が豊かになるのではないかなと思いました。

    因みに桜の木に目を向けた時に
    思ったのは「どっしりしてるなぁ〜」
    でした。

ごあいさつ

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