カルテという客観的事実②

高島心理カウンセラー

2017/ 05/ 05                 

カルテを見ていない私には、右足が大きく腫れて見えます。誰が見たってそう見えるはずなんです。
ところが、左足が問題だと書かれているカルテを見ると、見え方が変わってしまうのです。

いえ、見え方が変わるのではありません。
右足は変わらず腫れて見えているはずなんです。
ですが、それ以上に
「左足はどうなった?」
見るポイントが出来たばかりに、見えているものに気づけなくなってしまうのです。

カルテというのは、医者が記した診療記録です。
患部の状態や検査結果といった客観的事実をもとに、ある医者がまとめたものです。
当然その過程で、一般化、削除、省略が行われています。

よい悪いではありません。
そういうものなのです。
主観的なものなのです。

ですから、カルテの読み手は、誰かがまとめた主観的記録だという前提で見る必要があるのです。
客観的事実は、目の前の患者に表れているんです。
カルテの中ではありません。
これは高度な医学知識ではないでしょう。
ですが、専門家ほど陥ってしまうのかもしれません。

コミュニケーション場面でも同様なことは起こっています。
例えば、学歴・役職・収入・社会的地位。
こういったものを知った途端、その人の見え方が変わってしまう。

いや、見え方は変わっていないはずなんです。
ただ、見方が変わってしまう。

笑顔でつらいことを話す人がいる。
ともすると、笑えるってことはそこまでつらくないんだろうと思ってしまいます。
でも、本当にそうか。
それは自分の思い込みに過ぎないんじゃないか。

客観的事実は笑ってみえる顔だけなんです。
笑顔だからつらくないというのは、主観的解釈です。
そして、本当に苦しいことは笑ったような顔じゃないと言えないという方は確かにいるんです。

だからカウンセラーは研鑚を積むんです。
自分の価値観で理解しないように。
クライアントの思っていること、感じていることを客観的事実として受け止められるように。
それが職業倫理というものでしょう。

車に接触する寸前、何とか避けようと、知人はとっさに私の腕をつかんできました。
ですが私はつかまなかった。
体が固まってしまい動けませんでした。

これからは何があっても守る
強い覚悟が生まれました。

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