錯覚する脳は変わり身が速い?

高島心理カウンセラー

2017/ 01/ 27                 

先日、札幌からの帰りに、生まれて初めて高速バスの夜行便を利用しました。
今まで利用してこなかったのは、私が比較的音に敏感なことが理由の一つです。
車内で眠れるか不安があったのです。

札幌を深夜0時近くに出発。
函館には早朝5時頃到着予定です。

乗車して程なく、消灯しました。
しかし、案の定と言うべきか、眠れそうにありません。

座席の窓や後部窓はカーテンがされています。
さらに、運転席の直後からカーテンがされているため、座席から外の様子は全く見えません。
真っ暗な映画館に座っているような感じです。
もちろん映画は上映していません。
うっすら車内が見えるだけです。

時々、「ガガー」「ゴゴゴ」といった音と一緒に振動が伝わってきます。
私は、このバスが冬の北海道、それも高速道路を走っていることを知っています。
したがって、その音や振動から雪道を走っているのだとわかります。

「それでは、音や振動が静かなところの路面はどうなっているのだろう?」
そんなことが、ふと気になりました。

外を見ればいいのですが、カーテンのせいで外の様子は全く見えません。
そのカーテンも光が漏れないように固定されているので、簡単に開けられそうにありません。
では、耳や体で外の様子を見ることはできるでしょうか?

路面が濡れていないのはすぐにわかりました。
タイヤが濡れた路面を走る、「シャー」という音が全くしないからです。
一定の音や振動はありますが、規則的なものでほとんど変化はありません。
ということは、乾燥しているか、あるいはアイスバーンということになります。

それでは、乾燥しているかアイスバーンなのかを見分ける方法はないでしょうか?
私は、スピードがわかれば推測できると考えました。

路面の凸凹を伝える音や振動は全くと言ってよいほどありません。
ということは、もしアイスバーンだとすれば、スケートリンクのように平らな路面ということになります。
冬道を経験された方ならわかりますが、スケートリンクのような路面は、それはそれは滑るものです。いくら高速道路といえども、そうそう飛ばせるようなものではありません。

どれくらいのスピードか・・・。
感覚を研ぎ澄ませます。

ところが、G(加速したときにシートに押し付けられたり、カーブで感じる遠心力など)をほとんど感じ取れません。
意外な感じがしましたが、サーキットではなく高速道路を走っているのだから、こんなものかもしれません。
ともかく、Gを頼りに、バスが40km/hくらい、あるいは80km/hくらいと判断するのは難しそうです。

相変わらず路面の凹凸はほとんど感じません。
それでも、エンジンや風切り音、タイヤの音などは結構な大きさで聞こえてきます。
目をつぶって(開いていても路面は見えないのですが)、視覚以外の五感をさらに研ぎ澄ませます。

・・・難しい(笑)

高速バスに乗り慣れていないので、音や振動が大きいのかどうか客観的な判断ができないのです。
しかし、眠るのを諦めた私にはたくさんの時間があります。

30分は探ったでしょうか。
相変わらず、路面の凹凸はほとんど伝わってきません。
その割に音はずいぶんと大きいように感じます。

「間違いない、乾燥路面だ。」

カーテンの向こうに乾燥した路面を感じます。
これがアイスバーンだったら、バスは恐ろしい速さで走っていることになります。
しかし何事もありません。
バスは順調に走っているのです。
私の脳は、カーテンの向こうに、見えない乾燥路面を見ていました。

結局一睡もできないまま函館が近づいてきました。
交差点を曲がったり、信号待ちで停止していることが、音や振動で伝わってきます。
しかし、高速道路を降りても、路面状況に変化は感じられません。
バスはスリップすることなく進んでいます。

いよいよ前方のカーテンが開きました。
薄暗い函館の街並みと、そして路面が見えてきます。

路面が白い!?
圧接路面です。
降り積もった雪が、通行する車両によって踏み固められた路面です。

圧雪路面を走ると、乾燥路面やアイスバーンに比べ、独特の音や振動が加わります。
ツルツルとは言え、多少の凸凹があるのでしょう。
なのになぜ乾燥路面だと勘違いしたのか。

おそらく高速バスに乗り慣れていないことが原因でしょう。
思っていたよりバスの乗り心地がよかったのだと言えるのかもしれません。

それよりもここで注目したいのは、私の脳の変わり身です。
4時間以上にわたって、
「乾燥路面だ」
「乾燥した路面を走っているバスに乗っている」
と信じ続けてきました。
カーテンの向こうに、見えない乾燥路面を見ていました。

なのに、実際目にしたのは白い圧雪路面。
函館に来て急に音や乗り心地が変化したわけではないので、道中ずっと圧雪路面であったと考えてよいと思います。

4時間以上にわたって信じていたことが裏切られたのですから、混乱してしかるべきです。
しかしながら、圧雪路面を目にするや、
「ずいぶん雪が降ったんだなあ」
「全然溶けずに・・・相当寒かったな」等々・・・

私の脳は、私がいなかった時の函館の様子を、今見る圧雪路面を始め様々な事柄から、五感を通して探っています。
幻の乾燥路面は・・・もうどうでもいいようです(笑)

ついでに言うと、札幌函館間の路面は本当にずっと圧雪だったのか?
真実はわかりません。
けれど、私の脳では、幻の乾燥路面を錯覚であったと消去し、圧雪路面であったと上書き保存しています。

その圧雪路面が錯覚であることも・・・大いにあるでしょう。
けれども、その時はその時。
また私の脳は柔軟に対応することでしょう。

錯覚だろうが何だろうが、脳は五感を通して得た情報をもとに、現在の状況を認識します。
その認識に確かさを私たちは感じます。
けれども、その確かさは感じているほどの根拠はないようです。
そして、その認識が違っていた場合、私たちは感じていた確かさをあっさり捨て去り、新しい事態にたくましく反応していきます。

私たちの脳は錯覚し、そして錯覚する脳は変わり身が速いのです。

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