本当にあなたは「そのままで素晴らしい」ですか？

2018/2/15

マインドフルネスの第一人者、ティクナットハンの著作にこんな言葉があります。

　今のあなたは、
　そのままで素晴らしいのです。
　他の人になろうと
　しないでください。
　　　——ティクナットハンの抱擁

心に染み入る、思いやりに満ちた優しい言葉。
一見するとそんな気持ちになるかもしれません。

ですが、本当ですか？
本当に「今の自分はこのままで素晴らしいんだ！」
そう思いますか？
本当にそう思えますか？

これが今回のこころ塾のテーマとなりました。
ティクナットハンの言葉は続きます。

　あなたが探しているものは、すでにあなたの中にあります。
　あなたの周りにあるのではありません。
　あなたは今、あなたの願っているとおりの姿です。
　今のあなたは、そのままで素晴らしいのです。
　あなたが願う姿になるために、
　未来を待つ必要はありません。
　あなたが探しているものは、すでに「この瞬間」にあるのです。
　神の国も「今、この瞬間」にあります。
　あなたの悟りも、まさにここにあるのです。

　　　……自由に至る本当の道は、
　　　何も求めず、
　　　今、この瞬間にただ存在することです。

疑いもなく、「そうそう。今の自分はこのままで素晴らしんだ」
そう思えるなら、それはそれでよいかもしれません。
ですが、そうは思えないんです。

そうは思えないから、心について学んだり、マインドフルネスを求めたり、瞑想したり…
何とか自分を変えたいから、苦しみを癒したいから、こころ塾に来るわけでしょう。
今の自分をそのままで素晴らしいとは思えないんです。

だから何とかこの状態を脱して、苦しみのない状態に至りたい。

なのに、
　　……自由に至る本当の道は、
　　　何も求めず、
　　　今、この瞬間にただ存在することです。

ティクナットハンは気休めを言っているのではありません。
ここがマインドフルネス実践の肝要なところです。
書物をいくら読んでも、いくら実践を重ねても、ここが抜け落ちていては何にもなりません。
そして、マインドフルネスの効果をどうにも感じないという理由のほとんどは、この部分の無理解にあるように思います。

苦しみから逃れてどこかに行こうとするのではない。
この瞬間にただ在れば、そこに幸福を発見できるのです。

理論も思考もいりません。
難解な瞑想法も必要ありません。

息を吸いながら吸っていることに気づく
息を吐きながら吐いていることに気づく

やがて呼吸に気づいている自分がいなくなります。
ただ呼吸だけがある。
吸っている　吐いている
気づきだけが起こっている。

これが、「今、この瞬間にただ存在する」ということです。
これこそがマインドフルネスです。
あとは深めていけばよいだけです。

何年も、何十年も実践を重ねた末に辿り着くのではありません。
今日初めて呼吸瞑想に取り組んだとしても、起こっていることです。
誰にでも起こるんです。
だから、「今のあなたは、そのままで素晴らしい」のです。

瞑想をして、安らぎや落ち着きを感じたことはありますか？
自分と世界という関係性がなくなり、ただ存在しているだけ。
それがマインドフルネスです。
あとは、そのまま深めていけばいいんです。
遠回りをしないでください。