1月実践心理学講座

「はじめてのマインドフルネス」開催報告

高島 昌彦
丹下坂 愛実

2018/01/19

「マインドフルネスに興味はあるが…」
「Googleが取り組んでるくらいだから効果はあるんだろうけど、結局何なんだろう?」
「本を読んで実践しているが、はたしてこれでいいのかな?」
「我流でやっているせいか、いまいち効果がよくわからない…」
「いくら瞑想しても雑念が消えない!!」

マインドフルネスに興味を持たれた皆さん。
中には実践なさっている方もいるでしょう。
そんな皆さんに、私たちができることは?

今回の講座で私たちがもっともお伝えしようと心がけたのは、マインドフルネスの効能でもやり方でもありません。
心がけたのはただ一つ。
それは、なぜ私たちがマインドフルネスをお勧めするか。
つまり、なぜあなたにとってマインドフルネスが必要なのか。
その理由です。

一人で生きている人は誰もいません。
多かれ少なかれ社会とのかかわりはあるでしょう。
たとえ誰とも会わない日があるとしても、テレビをつければそこに人は映ります。
声も聞こえます。
スマホを開けば、あなた宛てのメッセージが届いていることでしょう。
ネットに繋がれば、そこは情報の宝庫です。
文字であれ画像であれ、たくさんの情報があなたに入ってきます。

社会だけではありません。
自然ともつながっているんです。
朝になれば、たとえ太陽を見なくても、明るくなっていることに気づくでしょう。
鳥のさえずりだって聞こえているかもしれません。

こうして過ごす一瞬一瞬に、いろんな情報が入ってきているんです。
そうして入ってきた情報はあなたの心に影響を与えます。
心は自動的なんです。
自動的に動き、そして快・不快・どうでもいいと判断をしているんです。

初めて会った人なのに、まだ話もしていないのに、なぜか虫が好かない。
そんな経験はありませんか?
それは、その人を嫌おうと思ってそうなるのではないのです。
その人を見た瞬間、あなたの心が自動的に動いたんです。
そして判断をした。
不快だと。

その人の目か、肌の色か、唇の厚みか、あるいは特徴的なある表情か…
何かがあなたのこれまでの経験から、不快と判断させているんです。
自動的に。

後にその人が悪い人ではないとわかると、理由もなくその人を嫌だと感じていた自分を後悔することもあるかもしれません。
「なんであんないい人を嫌っていたんだろう。私って人を見る目がないなあ」
自己嫌悪です。
こうやって余計な苦しみが生まれていくんです。

その人を最初に見て不快に感じたのは、単に心の作用にすぎません。
今までの経験からそのように学習したに過ぎないんです。

仮にその人の笑い方が不快と感じる原因だったとしましょう。
この場合、そのような笑い方をする人は皆あなたによい影響を与えなかった。
そのような笑い方をする人たちは、いつもあなたを苦しめる人ばかりだった。
あの人も、それからあの人も…。
そのような環境で育ってきた。
ただそれだけなんです。
余計に傷つかなくてもいいように、学習しただけなんです。
このような笑い方をする人はあなたを傷つけるから、近づかない方がよいと。

そして、今新しい出会いがあった。
自分が苦手と感じる笑い方をする人でも、いい人もいる。
経験が広がったんです。
ただそれだけ。

その人を見ただけで嫌ったのも、理由もなく(とあなたは思っている)嫌った自分を嫌悪しているのも、自動的なんです。
(自己嫌悪しているのであれば、人を嫌うのはよくないことだと学習してきたことになります。つまり、人を嫌うのはよくないという価値観を持っていることになります)
あなたの過ごしてきた環境から起こる当然の心の動きなんです。
そうしたあなたを守るための当然の心の動きが、この場合の自己嫌悪のようにかえって自分を苦しめてしまうことがあるんです。
これは余計な苦しみです。
そして、みなさんが「悩み」といっているほとんどが、この余計な苦しみなんです。

マインドフルネスを実践していくと、心の動きがわかるようになってきます。
自分が感じていること、大切にしていること。
表面的な部分ではなく、本当の自分に立ち返る。

マインドフルネスは、どんな難問にも矛盾なく解答できる正しい答え探しではありません。
そうではなく、どんな時でもあなたがあなたでいる。
本当のあなた探しといえるのかもしれません。

1月実践心理学「はじめてのマインドフルネス」講座風景 講師丹下坂愛実

2018.1.18 まちセン(函館市地域交流まちづくりセンター)にて

 

参加された方の感想