こころ塾だより

変わらぬ快・不快に変わる快

丹下坂心理カウンセラー
高島心理カウンセラー

私たちは初対面でまだ何も関わっていない人なのに、顔を見ただけで好感を持ったり、あるいは嫌悪感を抱いたりします。
一方で全く記憶に残らいないことも。

私たちは、誰か、あるいは何かなど、五感で感じるあらゆる物事を、よい・悪い、好き・嫌い、正しい・間違い、きれい・きたない…そして、どうでもいいと判断しています。
こころ塾では、これらの反応をまとめて、快・不快・中性と呼んでいます。

この反応。
マインドフルに心の動きを視ていくと、快・不快・中性の反応は自動的に起こることがわかります。
そして、この日常的に自動的に起こる快・不快の反応にただ気づいて行くというのが、現在のこころ塾初級コースで取り組んでいることです。

そして、快の反応では、ある気づきが生まれ始めています。

塾生同士で、1週間にあった嬉しいことをあげていくと、優しい言葉、ねぎらいの言葉をかけてもらうケースが多く出されました。
調子が悪い時、パートナーが気遣ってくれて優しい言葉をかけてくれた!
難しい顧客の応対を終えると、「よくやった!」と口々に職場の仲間がねぎらってくれた!
聞いている私たちも、「ああ、よかったなあ」と気分のよくなるエピソード。

ところで、その嬉しかった場面。
もしも全く同じ状況がこれから先、2度3度と起きた場合、快の強さは変わらないでしょうか?

「2度目は同じくらいの快を感じるかもしれない。でも、3度4度…と繰り返されると、ちょっと不満かも」
「最初と同じ言葉では満足できなくなる。もっと褒めて欲しい」
回数を重ねると、同じ刺激の強さでは快は小さくなっていくようです。
快が小さくなるどころか、もしかしたら不快が生じてくるのかもしれません。
「もっと、もっと!もっと快をくれ!!」と。

では、回数を重ねても強さは変わらない、そんな快はないのでしょうか?
「もしかしたら…」と自信なさげに話してくれたのは、こころ塾1期の頃から参加してくれている女性。

「私の父は厳しい人です。『正しい自分でなければならない』と父の前ではいつも緊張していました。31年間、ずっとそうしてきました。
現在私はものすごく苦しい状況にいます。必死にがんばってきましたが、ちょっと限界です。もう父の前でよい自分・正しい自分を取り繕うことができなくなってきました。
そんなダメな自分を父はそのまま受け入れてくれたんです。ダメな私をそのまま、ありのまま、私を存在として受け入れてくれました。
はじめてのことです。そして、とても嬉しい気持ちに満たされています。父との間で『つながり』を感じています」
涙ながらに話してくれました。
そして、
「この快は、たとえあと何回繰り返されても、幸せの大きさは変わらないと思います」

こころ塾の場が、優しい何とも言えない空気で満たされました。

私たちの心で自動的に起こる快の反応に、変わらぬ快と不快に変わる快があるようです。
来週のこころ塾では、さらに深く快と不快を学んでいきます。

<お知らせ>
7月より始まる、こころ塾初級コース第3期・上級コース第1期、好評受付中です。
定員に達し次第締め切りますので、お早めにお申し込みください。