5月Being会のご案内

「『私』のパターン分析」

高島 昌彦
丹下坂 愛実

4月に緊急事態宣言が発出されました。
新型コロナの感染拡大は、もちろん誰もが望むことではありません。
ですから、三密を呼ばれる状況は避けねばなりません。

一方で、このようなときだからこそ、「こころ」とじっくりと向き合いたい。
そうすることで、生きづらさからの解放や癒しを得たい、といった気持ちも強まっているのではないでしょうか。
殊に、こころ許せる仲間とのつながり、こころの触れ合いは、いつも以上に求められているように感じます。

そこで、延期となっていた5月Being会をオンラインにて開催いたします。
テーマは、仲間からのフィードバックが得られるというこころ塾の特性を活かし「私のパターン分析」とします。

日本海に沈む夕日

写真は、乙部町の海岸で撮影した夕日です。
右側に映っているのが奥尻島になります。

さて、この夕日を見てどんな気分になりましたか?
穏やかさを感じた方もいれば、哀愁を感じた方もいるでしょう。
あるいはちょっとした物悲しさを感じた方もいるかもしれませんね。

いずれにしても、私たちは、ある出来事を見ると、聞くと、そして感じると、自動的にそこに意味づけをし、感情が起こります。
そして、その感情に従って(ときには逆らって)行動を起こします。
これが、こころ塾で繰り返し学んでいる「こころの仕組み」です。

この「こころの仕組み」自体は万人に共通のものです。
ですが、五感で受け取った出来事をどのように受け取るか(自動思考)は一人ひとり異なります。
そして、それがいくつかのパターンになっている。
その自動思考のパターンがその人の個性、その人らしさのカギとなります。

例えば、宝くじ売り場の前を通りかかる場面。
そのときに、

A 「当たったら何に使おう?」
B 「どうせ当たるわけがない…」

二つのうちのどちらかが自動的に浮かぶとします。

今、試みに、Aを思ってみてください。
「当たったら何に使おう?」
どうです?
なんだか楽しい気分になってきませんか?
思わず買いたくなるかもしれませんね。

一方で、Bの思考が出てきたらどうなるでしょう?
「どうせ当たるわけがない…」
何だかつまらない気分になりますね。
とても、買ってみようという気にはならないでしょう。

このように、ある状況(宝くじ売り場の前を通りかかる)で、どのような自動思考(A or B)が起こるか。
それによって、そのときの気分や行動が決まる。
つまり、自動思考がその人らしさを決めていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

そして、その自動思考は一人ひとりパターン化されています。
ここがポイントです。
すなわち、Aのパターンの人はいつも必ずAの思考が起こり、同様にBのパターンの人はいつも必ずBの思考が自動的に起こるのです(もちろん現実的には、宝くじ売り場を通りかかったときに待ち合わせ場所に急いでいる等、他に優先事項があるかどうかで自動思考は変わってくるでしょう。さらに、最近ついてるなあと思っているとか、反対にむしゃくしゃしているとか、通りかかるときの気分も違うでしょう。そうなると当然、起こる自動思考も違います。ですが、これらは、(状況の違いによって)宝くじ売り場が目に入らないなど、そもそも宝くじ売り場の前を通りかかるという出来事の体験の仕方が違うわけです。つまり、出来事の違いが自動思考の違いを生んでいるのです)。

ついでながら、AとB、どちらの自動思考が優れているという話ではありません。
一般的にAの場合、いろいろな物事にチャレンジするという面がありますが、エネルギーの浪費も起きがちです。
何でも手を出してしまうわけですから。
一方でBの場合、慎重に物事を進める面と、ともするとなかなか行動を起こせない、楽しめないといったことも起こってきがちなわけです。
一長一短とも言えるでしょう。

それならば、自動思考をコントロールできたらいいのに。
そう思いませんか?
楽しい気分になりたかったり、懐具合に余裕があるときにはAを。
反対に、お金を使い過ぎているとか、少し気分を引き締めたいというときにはBという風に。

その方法が1つだけあります。
それは、自分の自動思考に気づくこと。
なんだそんなことかと思われるかもしれませんが、この気づきがあるかどうかで、全く生き方が変わってきます。

例えば、例に上がっている宝くじ売り場の前を通りかかる場面。
あなたはA「当たったら何に使おう?」の自動思考の持ち主だとします。
そして、そのことに気づいています。

早速実験してみましょう。
想像してください。
あなたが宝くじ売り場の前を通りかかります。
すると、自動的に「当たったら何に使おう?」という思考が起こります。
そして、あなたはこの自動思考が起こることに気づいています。
「ああ、やっぱりいつものパターンだ。『当たったら何に使おう?』という思考が自分の中から起きたぞ…」

どうでしょうか?
自動思考だけのときと比べて、何となく落ち着いた気分ではないでしょうか。
この後、宝くじを買う買わないの選択をすればよいわけです。
買いたければ買えばよいし、買いたくなければ買わなければよい。

どちらを選ぶにせよ、自動思考に突き動かされていたときとはずいぶん違うのではないでしょうか。
そこにあるのは、自分で選んだ感覚。
自分の行動を自分で決断する感覚です。

さて、この宝くじ売り場の例では、わかりやすくするために自動思考をA,Bの二つにしました。
ですが、もちろん現実には無数の自動思考があります。
さらに、急いでいるとか、そのときの気分とか、状況が少し変わるだけでも、出来事は無数に増えます。
出来事ごとに自動思考が起こるわけですから、自動思考の数もまた無限とも言ってよい数になります。
これが自動思考を意識することを難しくしている理由の一つです。

さらに、当たり前ですが、自動思考は自動的に起こります。
この当たり前の特性が、自動思考に気づくことの難しさのもう一つの理由です。

ですが朗報もあります。
先に、自動思考はパターン化されていると言いましたね。
生きづらさにつながる自動思考というのもまた、パターン化されているわけです。

例えば、
 ・否定的な色眼鏡
 ・オールオアナッシング思考
 ・読心癖
 ・自己否定思考
 ・すべき思考
 ・自分のせい思考
 ・感情の決めつけ

これらが代表的な例です。
自動思考は無数にあるとはいえ、パターン化されています。
ですから、一度気づいてしまうと、その自動思考にだんだんと気づくようになっていきます。
「またか」とか、慣れてくると「やっぱり」という感じで。
あとは、その都度選択していけばよいわけです。

さらに、こころ塾で自動思考を学ぶからこその利点があります。
それは、仲間の存在。

人は違いには敏感です。
「なんであの人はああなんだろう?」
自分のことには気づかないのに、他人の言動は目に入るんです。
そして、他人の言動が見えてくることで、自分というものへの気づきが生まれます。

通常、ともすると批判的になる相手への気づきですが、こころ塾は共感的な場。
相手、そして自分の存在そのもののレベルの交流が、自動思考への気づきを促します。
言い換えると、それほど難しいんです。
日常的な状態で自動思考に気づくということは。


今、困難な状況にいる私たち。
国難とも、未曽有の事態ともいわれています。
それでも、何とか乗り越えようと行動しています(行動しないという行動も含め)。
そして、そのあなたの行動を決めているのも、また、これまで同様あなたの自動思考。
今回もまた、あなたは意識せずにこれまでの生き方を続けているのです。
つまり、過去あなたが困難に出会ったときのパターンで、今回も対処しているのです。

ならば、過去の乗り越え体験から、あなたの自動思考のパターンを見つけていけばよいわけです。
そして、あなたの生き方として、変えるところ、変えないところを選択すればいい。

今日外出するのか、誰と話をするのか、それは直接会うのか、テレビ電話なのか。
もしかしたら、自動思考に気づいても行動は変わらないかもしれません。
ですが、そこには自分で選択するというステップが加わります。
自分で自分の人生を決めるのです。

自分の人生が自動的に決まっていくのか、それとも選択していくのか。
同じ行動をしていても、「こころ」の在り方は全く違ったものとなります。

5月のBeing会は19,26の火曜日、19:00~21:00。
対象は、いつも通りこころ塾一般コース修了生。
Skypeを利用して、オンラインで行います(Skypeの利用の仕方がわからなけばお問い合わせください)。

締め切りは、5/5(火)。
ご関心とご都合がつきましたらお申し込みください。
ご参加をお待ちしております。

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