【心身の不調】

なぜうつは人生の転換期に成り得るのか

丹下坂心理カウンセラー

2018/11/13

人に頼まれたことはNoと言えない、自分の管轄外のことでも全責任を負ってしまうというあなた。仮にこのタイプの方をAタイプとしましょう。

思い出してみてください。
Aタイプのあなたは小学校の頃から中学生、高校生、大学生そして社会に出る今までずっと、自分の考えや気持ちを家族や友達や先生に言えていましたか?

授業中はもちろん班や係活動、委員会活動、部活動、そして社内での会議やミーティングに至るあらゆる場面において、「こうした方がいいのに」と思う時も、「こういう考えもあるんだけどな」という時も、『それでいいです』と答えてきませんでしたか?
そして、いつも辛さ全部を一人で抱えて、一人で乗り越えてきませんでしたか?

一方であの時、あの人に言われた言葉、されたことが今でも忘れられないというあなた。こちらはBタイプとしましょう。

思い出してみてください。
Bタイプのあなたはその時のその人の声のトーン、言い方、声の大きさ、仕草などが、あなたが一番苦手としている人と似ていませんか?

Aタイプの人もBタイプの人も、今あなたをうつ、あるいは、うつ気味にしている目の前の問題は、実は、今始まったものではないのです。上記のように、幼少の頃から無意識のうちにずっと苦手にしていたことであって、今、それに気づいたのです、「わたしを困らせるやっかいな問題だ」と。心と体が「問題だ」と教えてくれているのです。

細かく見ていくと、実際はもっとたくさんの「問題」の機会に出くわしていたはずです。幸い、そのどの時も、何とかクリアできていたのです。

そして、今回です。「もう気づいてくれよ!」、そう心と体が訴えているのです。
だから、今のあなたが抱えている症状のすべては「人生の転換期と成りうる」のです。

AタイプのNoと言えないあなた、全ての責任を請け負ってしまうあなた。
そんなあなたの長所は「責任感が強い」ことではありませんか?
また、「人の意見を尊重する」ことではありませんか?
「向上心を持って努力をする」部分も持っていませんか?

もしあなたが会社の人事担当だった場合、「強い責任感」、「人の意見を尊重する」、「向上心がある」、「努力家」という部分を持った人を採用しますか?どの会社でも真っ先に欲しい人材のはずです。

仕事の技能に関しては、入社する前は誰もがゼロです。入ってから覚えればいいだけです。それよりも、どんな人柄か、そこが最重要視される部分で、これだけのプラスの部分をもったNoと言えないあなた、全ての責任を請け負ってしまうあなたは、社会にとって必要不可欠な有能な人材です。そのことに苦しんでいるあなた本人が気づいていないのです。自分では短所だとばかり思っていたことが、社会では長所だったりします。そのことに気づいてください。

どうですか?気づけましたか?気づいた今、気持ちに変化がありませんか?

さて、Bタイプのあの時、あの人に言われた言葉、されたことが今でも忘れられないというあなたはどうでしょう。

実は、それと同じ声の高さだったり、話し方だったり、目つきだったり、表情だったりあるいは、まさに同じセリフ、同じことをされたという過去はありませんか?
今目の前にある「問題」は、過去の(現在も)あの人の存在と同じではありませんか?
そして、その人のことをしっかりと憎みましたか?人を嫌ってはいけないと、どこかで自分の気持ちにブレーキをかけていませんか?あるいは、憎んでいるあの人に本当は愛情をもらいたかったのではありませんか?そんな寂しさが心のどこかに残っていませんか?

今、そのことに気づいたのであれば、人生の大きな転換期になるはずです。自分の奥底に眠っていた意識に気づいて、がんばってきたその意識に「がんばったね」と声をかけてあげてください。何かが変わるはずです。

Aタイプ、Bタイプに関わらず気持ちが沈み気味、うつ、今そう感じているあなた。
気づいたその瞬間から、いつでも人生は大きく変わっていきます。

人に相談する、しないも、あなたが幼少のころから持っている心の癖です。あなたが勇気を持って一歩踏み出すのなら、私たちカウンセラーは二歩目を自信を持って踏み出せるよう、後押しをします。苦しんでいる誰もが一日でも早くその苦しみから解放され、笑顔の人生を歩んでほしい、そう願う日々です。

 

執筆者:カウンセリングMaNa 丹下坂 愛実