うつで感じた疲労感の正体

高島心理カウンセラー

2018/2/12

うつを患っていたほとんどの期間で疲労感を感じていました。
特にうつの症状の悪い時ほど、その感覚は強かったように思います。

朝、目覚めた瞬間に、もう疲れていました。
寝てばかりもいられないので、何とか起き上がりソファーに。
背もたれにどっかり身を預け、ただボーっとする。
何もしていないのですから、疲れるわけがない。
疲れるわけがないのですが、実態としては疲労感を感じている。
感じているどころか、その疲労感は高まるばかり。
何もしていないのにものすごい疲れです。

うつというと精神的な病であるため、気疲れのようなものを想像されるかもしれませんが、そんなものではありません。
全身ではっきりと感じる疲労です。
体中が疲れているんです。
飛行機や車など、乗り物に長時間乗ったときに感じる疲労感が近いかもしれません。
それも数時間ではありません。
何日も何日も狭い乗り物に乗り続けたような感覚です。

頑張ってソファーに2時間ほども座ると、もう限界でした。
私の場合、背中や特に首のあたりがつらくなってたまりませんでした。

2時間ほどただボーっとソファーに座り、大きなため息をついた後、
「ああ、疲れた」
と言ってまた布団に戻る。
一緒に暮らしている家族は、それは呆れたことでしょう。
ですが、私としては本当にどうにもならないほどの疲労感だったのです。

この疲労感の正体は何か。
マインドフルネスの実践を続けるうちにその正体がわかってきました。

 

マインドフルネスの実践を続けていくと、感情が体に与える影響がわかります。
正確には感情が体に影響を与えるのではなく、まず体感覚があって、それを感情として意識していることになります。
このあたりはNLPを始め、心理学や脳科学で扱われる部分ですが、瞑想などマインドフルな実践を続けていくと、より体感しやすくなる部分でもあります。

例えば怒りの感情の場合、胸のあたりが熱くなったり、鼓動が高鳴ります。
頭に血がのぼる感覚やおなかがふつふつとする感じを覚える場合もあるかもしれません。
そして、瞬間的に呼吸が止まります。
息を吐き切って止まるのではなく、短く吸って止まります。
それら体感覚を怒りと意識しているということです。

ですから、息をゆっくり吐きながら怒ることはできません。
怒りを表出するときは、短く吸って瞬間的に止めた息を一気に吐き出しながらになります。

一方で怒りを表出しないとき、
つまり怒りを抑圧する場面では、首や肩の筋肉が緊張します。
止めた息を一気に吐き出す代わりに、首や肩などの呼吸筋群を緊張させているわけです。

怒りだけではありません。
悲しみや不安、後悔、喪失…あらゆる感情は体感覚ですから、感情が起こるたびに体には身体反応が起きています。
さらに、感情を表出せず抑圧する場合にも、筋肉の緊張という身体反応が起きているわけです。

なぜ感情と体感覚の話をしているかというと、
うつで感じる疲労感の多くは、この感情という体感覚が原因ではないかと思うからです。

うつがひどくなると医師から休養を進められます。
私も始めは半月ほど仕事を休み、それから年単位での休職、そして退職と経験しました。
そうして仕事を休んで自宅療養しているとき、本当に休養できていたのでしょうか。

 

確かに自宅のソファーで何もせず、ボーっと座っていました。
家事もせず、読書もせず(しようと思う気力もありませんでしたが)、テレビがついていたとしても、じっくり見るのではなく、ただ眺めている感じ。

そうしてただボーっと座りながら、ふと時計が目に入る。
「もう9時。みんな働いている時間だ…」
「なのにおれは自宅にいて何をしているんだろう」

窓から日が差しているのに気づく。
「いい天気…」
「こんな天気のよい日に家にこもって、おれは何をしているんだろう」

新聞の日付を見て、
「今日は火曜日か…」
「平日の昼間に仕事にも行かず、一体おれは何をしているんだろう」

テレビからはとある職人の映像が流れている。
「この職人は寝る間も惜しんで仕事しているのか。偉いなあ…」
「なのに俺は昼間からパジャマも着替えもせずにただ座ってる」

働くべき時間に仕事をしていない罪悪感
実は自分は単にサボっているだけなのではないかという自己への不安感
周囲からそう見られているのではないかという怖れ
いつになったらよくなるのだろうという焦燥感
もうよくなることはないのではないかという絶望感
そして、それらの感情を表出せず、何も感じていないかのように抑圧している。

確かに、起床後ただソファーに座っているだけでした。
傍から見たら、何もせずゆっくり体を休めているように見えたでしょう。
自分でもそう思っていました。

しかし、実際には何かを見て、聞いて、感じて、そして思い出して…
感情が思考を呼び、その思考がまた感情を呼び、その感情がさらに感情を呼び…

感情は体感覚ですから、怒りや不安、後悔、あきらめ、恥といった感情がわくたびに、身体反応が起こっていたことになります。
わいてくる感情のほとんど全ては、いわゆるネガティブなものですから、起きている身体反応も偏りがあるわけです。
方向としては当然リラックスではなく、緊張です。
さらにうつのときには感情を表出せず抑圧する傾向にありますから、そのためにさらに身体的に緊張が増すことになります。
(一方で、一度感情を表出しだすと止めどなくなる場合もあります。うつによる情緒不安定の他に、抑圧し続けることで感情があふれんばかりになっているという側面もあるでしょう)。

結局のところ、休養などできていないのです。
確かにソファーに座ったままで体は動かしてはいませんが、心は動き続けています。
過去の後悔、未来への不安、今あるものへの執着と嫌悪
感情がわくたびに、そしてそれを抑圧するたびに、がちがちに体は緊張していったのです。
感情のループ
これが、うつの疲労感の正体です。

うつのときの脳は、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN:Default Mode Network)過剰になっていますから、感情のループが際限なく繰り返されるわけです。
ですから、いくら体を休めても疲れが取れないわけです。
そればかりか、休養しても症状がなかなかよくならないことから、自分を責めるなどして、ますます症状を悪化させているともいえるでしょう。

マインドフルネス認知療法(MBCT) がうつや不安・摂食障害を改善するメカニズムも、「今、ここ」に意識を向けることで、感情のループからの脱却を行っていると解せば、理解がスムースな気がします。
何より、私自身の実体験がそうですから。

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