仕事に逃げていませんか?

高島心理カウンセラー

2019/10/12

〇〇中毒という言葉があります。
アルコールだったりギャンブルだったり、最近はスマホもあるかもしれません。

これらにかかった場合、家族や周りの人たちからはもちろん、社会からも後ろ指をさされます。
何より本人が「このままではダメだ」と自覚します。

ところが、仕事中毒はどうでしょう?
果たして、「このままではダメだ」と自覚するでしょうか?
周りも、そして本人も。

実は、仕事中毒にかかっている人は、そもそもそれ自体が悪いことだと認識できていません。
それどころか、正しいことをしていると思っています。
信じていると言った方がいいかもしれません。

朝から晩まで仕事、休日返上で仕事という生活は、周りの人から、働き者、成功者と評価されます。
そうなると、自分でも「私はすごい。よくやっている」と勘違いするようになっていきます。
そして、仕事で結果を残すことで「自己重要感」を満たしていく。
そうやって、ますます仕事中毒に拍車がかかっていくんです。

かくいう私がそうでした。
仕事をしていると安心できました。
まじめで正しいことをしている自分を感じることができたんです。

当時は教員でしたから、仕事中毒になることで給料が上がるわけではありません。
それでも、仕事にのめりこむようになったのは、一つは先輩の影響があったように思います。

「休日もずっとどんな授業にすればいいか考えてたよ」
「教材研究で一日が終わっちゃった」
こんな話を聞いては、エライなあ、かっこいいなあと感じていました。
そして、「じゃあオレも!」と。

結局のところ、「高島先生、エライねえ」こんな称賛を求めていたんだと思います。
それに、たとえ期待通りに周りからの賞賛が得られなくても、自分から得られるんです。
「オレ、頑張ってるな」そうこころから思える。
「自己肯定感」です。

そして何より、孤独を感じずに済みました。
「仕事だからしょうがいないだろ」
そう言って、大切な人をないがしろにしてしまっていることを正当化していました。

今思うと、実は反対もあったことに気づきます。
大切な人からないがしろにされていたんです。
本当は、もっと自分のことを見ていてほしかった。
もっと自分を大切にしてほしかった。

でも、それを言ってしまうと、愛されていない自分を感じてしまう。
自分の存在が不安定になってしまうんです。
だから、仕事に逃げていた。

本当は、大切な関係というのは、満たされていないと認め合うところから始まるのですが。
そんな普通ではできないことができるから、大切な関係なんです。
きっと当時の私は、裏切られることを怖れるあまり、信頼する勇気が持てなかったのでしょうね。

家族であれ、友人であれ、大切な関係というのは、思っているだけではダメなんです。
ちゃんと思いをかけて、時間をかけていかないと。
大切に思うことと、大切にすることは違うのだから。

仕事から逃げてはいけません。
そして、仕事に逃げてもいけません。

ちょうど3連休。
天候も心配です。
こんな時こそ、大切な人を大切にする時間にしませんか?


執筆者:カウンセリングMaNa 高島 昌彦