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ー こころの相談室 ー カウンセリングMaNa
〒041-0844 北海道函館市川原町1-8
2018/5/18
先日のこころ塾。
この1週間に体験したうれしい、幸せといった心の快の反応を話し合っていた時のことです。
ある女性が、体調が悪い時にご主人が気遣ってくれたのがすごくうれしかったという話をしてくれました。
優しい言葉をかけてくれたり、簡単ではあるものの料理を作ってくれたり…。
なんと優しいご主人なんだろうとみんなで感じ入っていました。
しかし、残念ながらいつもいつもそうではないらしい。
そして、その女性がぽろっと。
「でも、体調が悪い時にこう言われることもあるんです。
『オレはお前じゃないからわからない』
ものすごく悲しい気持ちになります…」
ここから、こころ塾はカップル・コミュニケーションへとしばし脱線。
「オレにはわからない」
「オレはお前じゃないからわからない」
「オレが体験したわけじゃないからわからない」
男性がよく使う表現ではないでしょうか。
そして、女性が深く傷つく表現。
実は、この表現で女性が傷つくとわかっている男性はほとんどいません。
おそらく5%もいないような。
かくいう私も心理カウンセラーになって多くの女性の悩み相談を受けるまで、全く気づいていませんでした。
こういった表現で女性が傷ついているとは。
「だって事実でしょ。事実をそのまま言われてなんで傷つくの?」
カウンセラーになりたての頃は本気でそう思っていました。
「オレにはわからない」
「オレはお前じゃないからわからない」
「オレが体験したわけじゃないからわからない」
どうしてこのような表現をされると、女性は傷つくのでしょうか?
それは、突き放されたように感じるからです。
「オレには関係ない」と聞こえるんです。
苦しんでる自分(女性)を置き去りにして逃げられる感覚。
「つらいんだね。大丈夫?」と優しい言葉をかけて、寄り添ってほしいのに。
ただ心配してくれるだけでいいのに。
そう、女性は共感を求めているんです。
では、男性は?
「オレにはわからない」
「オレはお前じゃないからわからない」
「オレが体験したわけじゃないからわからない」
どうしてこういう表現をするのでしょうか?
これは男性の敗北宣言なんです。
その状況に対する敗北宣言。
男性は女性を助けたいんです。
自分が何か直接してあげてもいい。
「こうすればいいんだよ」とアドバイスするのでもいい。
何とかして助けたいと思っているんです。
ですが、状況が問題なんです。
女性が体験している(いた)こと。
それを男性は体験したことがないんです。
まさしく、「オレが体験したわけじゃない」
全く同じ体験をしたことがないわけですから、その状況は未知のものです。
つまり、「わからない」。
もちろん未体験なその状況を克服したわけではないので、解決策も示せないわけです。
つまり女性がおかれているその状況について、役に立たない、無力な自分を感じているわけです。
男性の心の動きを順番に並べてみると、
①「えっ!? 〇〇な状況なの? それはつらそうだ」
②「何とか助けてあげたい!!」
③「どう助ければいいんだ? 自分の知識・体験をリサーチしてみよう!」
③「……。 〇〇な状況って…俺、体験したことない!! 解決する知識も持ってない!!」
④「助ける方法は…全くわからない。〇〇な状況をコントロールする術を俺は何も持ってないぞ…」
⑤「何の力にもなれない。役立たずだ。オレにできることは何もないんだ」
この敗北感が言葉になると例の敗北宣言。
「オレにはわからない」
「オレはお前じゃないからわからない」
「オレが体験したわけじゃないからわからない」
おわかりですか?
男性が何を「わからない」と述べているのか?
そして、女性が「わからない」をどのように受け取っているか。
言葉のすれ違いが、男女の心のすれ違いを生んでいるんです。
大切なところですから、自信がなければ、もう一度読み返してくださいね。
(一応、文章末に解答は記しておきます)
<女性へ>
あなたが男性に求めている共感。
実は男性はしているのです。
男性の心の動き①がそうです。
①「えっ!? 〇〇な状況なの? それはつらそうだ」
ところが、男性にはすぐに②が働く。
②「何とか助けてあげたい!!」
なぜならそれは、あなたが大切な人だからです。
あなたという存在に自分が果たす責任を感じているからです。
もしも相手が大切な人でない場合、②が発動しません。
すると①を表現することが出来るんです。
「えっ!? 〇〇な状況なの? …それはつらそうだね」と。
その男性が仕事仲間などにこのように話している場面が想像できませんか。
それは、助けなければならない責任を感じていないからです。
だから共感を表現する余裕ができるのです。
「オレにはわからない」
「オレはお前じゃないからわからない」
「オレが体験したわけじゃないからわからない」
お決まりのこのセリフが男性からあなたに発せられたら、そこに愛があることを知ってください。
大切なあなたを助けようとしている男性に気づいてください。
あなたも苦しい状況でしょうからわからないかもしれませんが、あなたのために苦しんでいる男性がそこにはいるんです。
あなたを助けたいのに助けられない無力感でいっぱいの男性が。
なぜなら男性にとって、あなたが幸せであることが自分の存在理由だから。
今度こういう場面があったら、男性にはこう言葉をかけてください。
「『オレはお前じゃないからわからない』って言われると、突き放されたみたいに感じて悲しくなるの。だから、ただ『大丈夫か?』って聞いてくれる? そして、しばらく隣にいて。解決方法を知りたいんじゃないの。ただ隣にいてくれるだけでいいの。あなたがそうしてくれると守られてるって感じがして、気持ちが楽になっていくから」
男性は存在理由が揺らぐほど勝手に自分を追い込んでる状態ですから、「隣にいて」「お皿を洗って」などのように具体的な行動を示してあげるとよいです。
ただし、あなたが心から感謝できる具体的な行動です。
「このお皿まだ汚れてるじゃない!」などと、後であなたがダメ出ししそうなことは、頼まないようにしましょうね。
<男性へ>
「オレにはわからない」
「オレはお前じゃないからわからない」
「オレが体験したわけじゃないからわからない」
この種の発言は、ものすごく女性を傷つけます。
親から冷たくされた体験、仲間外れやいじめなど、過去に味わった強烈な孤独感や疎外感とリンクする女性が多いようです。
なぜならそれは、大切なあなたが発した言葉だから。
大切な存在から見放されたと感じてしまうんです。
「お前のことなんかどうでもいい」と聞こえてしまうんです。
今度、あなたが体験したことのないことで女性が苦しんでいたら、そしてアドバイスできることも何も思い浮かばないときは、こう言葉をかけてください。
「つらそうだね。何とか助けてあげたいけど、自分が体験したことがないから、解決方法がわからないんだ。どうすれば力になれるかな?」
きっと女性は、
「ただ話を聞いてくれるだけでいい」
「一緒にいてくれるだけでいい」
「マッサージして」
何の解決方法にもならないじゃないかと思われることを言ってきます。
ですが、それでいいんです。
女性が味わっている苦しみよりももっと大きなものをあなたは持っています。
それは、あなたという存在。
解決不能な苦しみよりもあなたという存在の方が価値がある。
苦しみを通して、そう女性はあなたに気づかせてくれます。
行動に意味があるんじゃない。
あなたという存在そのものが頼りになるんです。
そう、あなたの存在そのものが何よりの解決方法です。
執筆者:カウンセリングMaNa 高島 昌彦
<会話の解答>
〇男性の言いたいこと
「オレには解決方法がわからない」
「オレはお前じゃないから解決方法がわからない」
「オレが体験したわけじゃないから解決方法がわからない」
〇女性に聞こえていること
「オレにはどうでもいい」
「オレはお前じゃないからどうでもいい」
「オレが体験したわけじゃないからどうでもいい」
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