
函館でカウンセリング開業19年、お客様延べ13,618人の実績
ー こころの相談室 ー カウンセリングMaNa
〒041-0844 北海道函館市川原町1-8
作 成 日:2020/03/05
 最終更新日:2022/02/08
  
カウンセリングMaNa 心理カウンセラーの高島です。
このように、すぐに過去のことを蒸し返す人っていますよね?
 もう終わったはずの過去を。
あるいは、「自分の方がついつい過去を蒸し返してしまう」そう悩んでいらっしゃる方もいるかもしれませんね。
過去を蒸し返される。
言われる立場にすると、これは辛いものです。
 過去の出来事は変えることができませんから。
  
責められる感覚が強くなると、逆ギレする人も出てくるかもしれません。
「何度謝れば気が済むんだ!」と。
そして、それをされてしまうと、過去を蒸し返した方も納まりがつかなくなります。
「私が悪いとでも言うの? ほら、結局反省していないんでしょ? 自分は悪くないと思ってるんでしょ?」と。
 
 
 このように、過去を蒸し返す方も、
 また、蒸し返される方も、
 どちらも苦しくなってしまいます。
それなのに、パターンのように
 「過去を蒸し返す」を繰り返してしまう。
  
この「過去を蒸し返す心理」の正体。
 一体何なのでしょうか?
  
 結論から言うと、「過去を蒸し返す心理」というのは、『現在』に不満があるのです。
 あなたにも心当たりがあるはずです。
  
思い出してみてください。
 あなたが、つい過去を蒸し返してしまったときのことを。
あるいは、口には出さなかったけれど、
 心の中で過去を蒸し返していた場面。
「あなたはあのとき○○だったじゃない。」と。
そして、その場面のあなたの気持ちに
 意識を向けてみてください。
じっくりと感じてみて。
  
いかがでしょうか。
 ”今”の不満でいっぱいではありませんか?
「私のことをわかってくれていない」
 「大切に思われていない」
 「認められていない」と。
ですから、「過去を蒸し返す」というのは、本当は過去のことを引きずっているのではない。
 むしろ、”今”という現在のその瞬間に不満があるということなのです。
 言い換えると、今この瞬間に満ち足りていたら、どんなに苦しい過去でも、そもそも記憶にあがってこないともいえます。
 現に、あなたも幸福感でいっぱいのときには、過去の許せない出来事のことなど思い出しませんよね?
  
 
 
  
 では、どうして私たちは、「今の不満」を「過去の出来事」を使って伝えてしまうのでしょうか?
  
それは、「今の不満」をそのまま述べたとしても、なかなか相手に受け入れてもらえないからです。
「私のことをわかってくれていない。もっと大切にしてよ」
と相手に伝えても、
「十分大切に思っている。こうして一緒にいるのが、その証拠だろ? それより君の方こそ、こちらのことを…」
と返ってくる。
 相手は相手で、今の思い、言い分があるからです。
 だから、これだと意味がない。
 伝えたい「今の不満」が、伝わりませんから。
  
それならば、絶対に相手に反論されない「過去の出来事」を持ち出して、今、自分が感じている苦しさを相手に何とかわかってもらおうとする。
 それが、「過去を蒸し返す心理」の本当の思いです。
 本当は、ただわかってほしいのです。
 自分の苦しさを。
  
 
 
 そして、残念ながらコミュニケーションとしては、逆効果が起こる。
確かに、過去を蒸し返せば相手は反論してこないでしょう(もしくは、逆ギレされてますます事態が悪化する)。
ですが、それでは肝心なわかってほしいことは伝わりません。
 そう、「今の不満」をわかってはもらえないのです。
なぜなら、視点が過去に向いてしまっていますから。
  
 本当に伝えたいことは、そうではないはずです。
今に不満があるというのは、言い換えると、もっと親密な二人になりたいという願いでしょう。
 希望といってもよい。
 だから、「何とかわかってほしい」と、がんばって伝えるのです。
 ただ、過去を蒸し返すというその方法では、逆効果になる。
 反論の余地を与えないというのは、相手の存在の否定に他なりませんから。
相手には「この野郎」という敵意が起きるだけで、今抱えているその苦しさには気づいてもらえません。
それでは、どうすればよいのでしょうか?
 
 実は、視点を”今”に戻せばいいのです。
 視点を”今”という現状に戻して、そして、気づいてみる。
「私(相手)は、何に不満を感じているのか」と。
  
 
 
 自分、もしくは相手の口から、過去を蒸し返す言葉が出るとき。
 さらに、口にはしていなくても、自分の心の中に過去を蒸し返す思いがあるとき。
そんな、「過去を蒸し返す思い」を見つけたら(自分のであれ相手のであれ)、視点を今に戻してみてください。
「今、私たち二人の間にある不満は何のなのだろう」と。
二人のために、二人の間で起きているすれ違いを探す作業です。
 希望を見つける作業といってもよい。
これこそ、成熟したカップルへと至る道です。
  
 過去を変えることはできない。
 よく言われることですね。
本当にそうなのでしょうか?
  
心のメカニズムからすると、半分は正しくて、そして半分は間違いといえます。
  
 誰かから言われた言葉。
 誰かを失った経験。
  
あなたが体験した出来事そのものは確かに起こったことです。
 その意味で、過去は変えることができません。
  
 一方で、過去の受け取り方は変わります。
  
今回のつぶやき。
 今が満ち足りていると、過去を蒸し返さないというのがそのよい例ですね。
  
当時は許せなかったことなのに、
 今となってみると、
 「あぁ、そんなこともあったなあ。あのときはつらかったなぁ」と
 懐かしく思い出されるような感覚。
  
その意味で、過去は変えることができるのです。
 そして、心にとっては、出来事よりも受け取り方の方が影響が大きい。
 なぜなら、感情を決めるのは、受け取り方だからです。
つまり、変えられない過去はないといえます。
 これが、心理カウンセリングが効果をもつ理由の一つです。
  
執筆者:カウンセリングMaNa 心理カウンセラー 高島 昌彦
  
〒041-0844
 北海道函館市川原町1-8
9:00~20:00
メールでのお問合せは24時間受け付けております。
info@hsmana.com
月曜日