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ー こころの相談室 ー カウンセリングMaNa
〒041-0844 北海道函館市川原町1-8
作 成 日:2020/03/05
最終更新日:2022/02/08
カウンセリングMaNa 心理カウンセラーの高島です。
このように、すぐに過去のことを蒸し返す人っていますよね?
もう終わったはずの過去を。
あるいは、「自分の方がついつい過去を蒸し返してしまう」そう悩んでいらっしゃる方もいるかもしれませんね。
過去を蒸し返される。
言われる立場にすると、これは辛いものです。
過去の出来事は変えることができませんから。
責められる感覚が強くなると、逆ギレする人も出てくるかもしれません。
「何度謝れば気が済むんだ!」と。
そして、それをされてしまうと、過去を蒸し返した方も納まりがつかなくなります。
「私が悪いとでも言うの? ほら、結局反省していないんでしょ? 自分は悪くないと思ってるんでしょ?」と。
このように、過去を蒸し返す方も、
また、蒸し返される方も、
どちらも苦しくなってしまいます。
それなのに、パターンのように
「過去を蒸し返す」を繰り返してしまう。
この「過去を蒸し返す心理」の正体。
一体何なのでしょうか?
結論から言うと、「過去を蒸し返す心理」というのは、『現在』に不満があるのです。
あなたにも心当たりがあるはずです。
思い出してみてください。
あなたが、つい過去を蒸し返してしまったときのことを。
あるいは、口には出さなかったけれど、
心の中で過去を蒸し返していた場面。
「あなたはあのとき○○だったじゃない。」と。
そして、その場面のあなたの気持ちに
意識を向けてみてください。
じっくりと感じてみて。
いかがでしょうか。
”今”の不満でいっぱいではありませんか?
「私のことをわかってくれていない」
「大切に思われていない」
「認められていない」と。
ですから、「過去を蒸し返す」というのは、本当は過去のことを引きずっているのではない。
むしろ、”今”という現在のその瞬間に不満があるということなのです。
言い換えると、今この瞬間に満ち足りていたら、どんなに苦しい過去でも、そもそも記憶にあがってこないともいえます。
現に、あなたも幸福感でいっぱいのときには、過去の許せない出来事のことなど思い出しませんよね?
では、どうして私たちは、「今の不満」を「過去の出来事」を使って伝えてしまうのでしょうか?
それは、「今の不満」をそのまま述べたとしても、なかなか相手に受け入れてもらえないからです。
「私のことをわかってくれていない。もっと大切にしてよ」
と相手に伝えても、
「十分大切に思っている。こうして一緒にいるのが、その証拠だろ? それより君の方こそ、こちらのことを…」
と返ってくる。
相手は相手で、今の思い、言い分があるからです。
だから、これだと意味がない。
伝えたい「今の不満」が、伝わりませんから。
それならば、絶対に相手に反論されない「過去の出来事」を持ち出して、今、自分が感じている苦しさを相手に何とかわかってもらおうとする。
それが、「過去を蒸し返す心理」の本当の思いです。
本当は、ただわかってほしいのです。
自分の苦しさを。
そして、残念ながらコミュニケーションとしては、逆効果が起こる。
確かに、過去を蒸し返せば相手は反論してこないでしょう(もしくは、逆ギレされてますます事態が悪化する)。
ですが、それでは肝心なわかってほしいことは伝わりません。
そう、「今の不満」をわかってはもらえないのです。
なぜなら、視点が過去に向いてしまっていますから。
本当に伝えたいことは、そうではないはずです。
今に不満があるというのは、言い換えると、もっと親密な二人になりたいという願いでしょう。
希望といってもよい。
だから、「何とかわかってほしい」と、がんばって伝えるのです。
ただ、過去を蒸し返すというその方法では、逆効果になる。
反論の余地を与えないというのは、相手の存在の否定に他なりませんから。
相手には「この野郎」という敵意が起きるだけで、今抱えているその苦しさには気づいてもらえません。
それでは、どうすればよいのでしょうか?
実は、視点を”今”に戻せばいいのです。
視点を”今”という現状に戻して、そして、気づいてみる。
「私(相手)は、何に不満を感じているのか」と。
自分、もしくは相手の口から、過去を蒸し返す言葉が出るとき。
さらに、口にはしていなくても、自分の心の中に過去を蒸し返す思いがあるとき。
そんな、「過去を蒸し返す思い」を見つけたら(自分のであれ相手のであれ)、視点を今に戻してみてください。
「今、私たち二人の間にある不満は何のなのだろう」と。
二人のために、二人の間で起きているすれ違いを探す作業です。
希望を見つける作業といってもよい。
これこそ、成熟したカップルへと至る道です。
過去を変えることはできない。
よく言われることですね。
本当にそうなのでしょうか?
心のメカニズムからすると、半分は正しくて、そして半分は間違いといえます。
誰かから言われた言葉。
誰かを失った経験。
あなたが体験した出来事そのものは確かに起こったことです。
その意味で、過去は変えることができません。
一方で、過去の受け取り方は変わります。
今回のつぶやき。
今が満ち足りていると、過去を蒸し返さないというのがそのよい例ですね。
当時は許せなかったことなのに、
今となってみると、
「あぁ、そんなこともあったなあ。あのときはつらかったなぁ」と
懐かしく思い出されるような感覚。
その意味で、過去は変えることができるのです。
そして、心にとっては、出来事よりも受け取り方の方が影響が大きい。
なぜなら、感情を決めるのは、受け取り方だからです。
つまり、変えられない過去はないといえます。
これが、心理カウンセリングが効果をもつ理由の一つです。
執筆者:カウンセリングMaNa 心理カウンセラー 高島 昌彦
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