過去を蒸し返す心理

高島 昌彦

作 成 日:2020/03/05
最終更新日:2022/02/08
 

カウンセリングMaNa 心理カウンセラーの高島です。

  • 「やっぱりあなたってそうなのよ! だいたいあの時だって…」
  • 「あなたってそういう人。だって、新婚旅行だって連れて行ってくれなかったでしょ…」
  • 「お前ってなんでそうなの? あの時は〇〇したし、あの時は…」

このように、すぐに過去のことを蒸し返す人っていますよね?
もう終わったはずの過去を。

あるいは、「自分の方がついつい過去を蒸し返してしまう」そう悩んでいらっしゃる方もいるかもしれませんね。

あなたが、ついつい過去を蒸し返してしまうご自身に苦しんでいて、その怒りの相手がいつも特定の相手(配偶者、親、上司、部下など)であるのなら、それはあなたが悪いのではなく、過去を蒸し返させられているかもしれません。
 

過去を蒸し返される。

言われる立場にすると、これは辛いものです。
過去の出来事は変えることができませんから。
 

責められる感覚が強くなると、逆ギレする人も出てくるかもしれません。

「何度謝れば気が済むんだ!」と。

そして、それをされてしまうと、過去を蒸し返した方も納まりがつかなくなります。

「私が悪いとでも言うの? ほら、結局反省していないんでしょ? 自分は悪くないと思ってるんでしょ?」と。


このように、過去を蒸し返す方も、
また、蒸し返される方も、
どちらも苦しくなってしまいます。

それなのに、パターンのように
「過去を蒸し返す」を繰り返してしまう。
 

この「過去を蒸し返す心理」の正体。
一体何なのでしょうか?
 

”今”という現在の不満が過去を蒸し返らせる


結論から言うと、「過去を蒸し返す心理」というのは、『現在に不満があるのです。
あなたにも心当たりがあるはずです。
 

思い出してみてください。
あなたが、つい過去を蒸し返してしまったときのことを。

あるいは、口には出さなかったけれど、
心の中で過去を蒸し返していた場面。

「あなたはあのとき○○だったじゃない。」と。

そして、その場面のあなたの気持ちに
意識を向けてみてください。

じっくりと感じてみて。
 

いかがでしょうか。
”今”の不満でいっぱいではありませんか?

「私のことをわかってくれていない」
「大切に思われていない」
「認められていない」と。

ですから、「過去を蒸し返す」というのは、本当は過去のことを引きずっているのではない。
むしろ、”今”という現在のその瞬間に不満があるということなのです。


言い換えると、今この瞬間に満ち足りていたら、どんなに苦しい過去でも、そもそも記憶にあがってこないともいえます。
現に、あなたも幸福感でいっぱいのときには、過去の許せない出来事のことなど思い出しませんよね?
 


 

真意は、「苦しさをわかってほしい」


では、どうして私たちは、「今の不満」を「過去の出来事」を使って伝えてしまうのでしょうか?
 

それは、「今の不満」をそのまま述べたとしても、なかなか相手に受け入れてもらえないからです。

「私のことをわかってくれていない。もっと大切にしてよ」

と相手に伝えても、

「十分大切に思っている。こうして一緒にいるのが、その証拠だろ? それより君の方こそ、こちらのことを…」

と返ってくる。
相手は相手で、今の思い、言い分があるからです。


だから、これだと意味がない。
伝えたい「今の不満」が、伝わりませんから。
 

それならば、絶対に相手に反論されない「過去の出来事」を持ち出して、今、自分が感じている苦しさを相手に何とかわかってもらおうとする
それが、「過去を蒸し返す心理」の本当の思いです。


本当は、ただわかってほしいのです。
自分の苦しさを。
 


そして、残念ながらコミュニケーションとしては、逆効果が起こる。

確かに、過去を蒸し返せば相手は反論してこないでしょう(もしくは、逆ギレされてますます事態が悪化する)。

ですが、それでは肝心なわかってほしいことは伝わりません。
そう、「今の不満」をわかってはもらえないのです。

なぜなら、視点が過去に向いてしまっていますから。
 

視点を今に戻す(重要)


本当に伝えたいことは、そうではないはずです。

今に不満があるというのは、言い換えると、もっと親密な二人になりたいという願いでしょう。
希望といってもよい。
だから、「何とかわかってほしい」と、がんばって伝えるのです。


ただ、過去を蒸し返すというその方法では、逆効果になる。
反論の余地を与えないというのは、相手の存在の否定に他なりませんから。

相手には「この野郎」という敵意が起きるだけで、今抱えているその苦しさには気づいてもらえません。

それでは、どうすればよいのでしょうか?

実は、視点を”今”に戻せばいいのです。
視点を”今”という現状に戻して、そして、気づいてみる。

「私(相手)は、何に不満を感じているのか」と。
 


自分、もしくは相手の口から、過去を蒸し返す言葉が出るとき。
さらに、口にはしていなくても、自分の心の中に過去を蒸し返す思いがあるとき。

そんな、「過去を蒸し返す思い」を見つけたら(自分のであれ相手のであれ)、視点を今に戻してみてください。

 

「今、私たち二人の間にある不満は何のなのだろう」と。

二人のために、二人の間で起きているすれ違いを探す作業です。
希望を見つける作業といってもよい。

これこそ、成熟したカップルへと至る道です。
 

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過去は変えることができる?


過去を変えることはできない。
よく言われることですね。

本当にそうなのでしょうか?
 

心のメカニズムからすると、半分は正しくて、そして半分は間違いといえます。
 

過去の「出来事」は変えることができない


誰かから言われた言葉。
誰かを失った経験。
 

あなたが体験した出来事そのものは確かに起こったことです。
その意味で、過去は変えることができません。
 

過去の「受け取り方」は変えることができる


一方で、過去の受け取り方は変わります。
 

今回のつぶやき。
今が満ち足りていると、過去を蒸し返さないというのがそのよい例ですね。
 

当時は許せなかったことなのに、
今となってみると、
「あぁ、そんなこともあったなあ。あのときはつらかったなぁ」と
懐かしく思い出されるような感覚。
 

その意味で、過去は変えることができるのです。
そして、心にとっては、出来事よりも受け取り方の方が影響が大きい。
なぜなら、感情を決めるのは、受け取り方だからです。

 

つまり、変えられない過去はないといえます。
これが、心理カウンセリングが効果をもつ理由の一つです。
 

執筆者:カウンセリングMaNa 心理カウンセラー 高島 昌彦
 

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皆様からよせられた感想

  • うん、うん、そう、そうと思いながら読ませて頂いてます。今の私には本当に助かっています。ありがとうございます。
     
  • 過去を蒸し返す心理の原因が、今の現状に不満があって、さらに、もっと親密な二人になりたいという、願いや希望が心の中に隠れていることを知りました。
    そんな気持ちがあるのに、逆効果なことをしてしまうのは、もったいなくて、先生のつぶやきで教えて頂けて、良かったです。

     
  • 「変えられない過去はない」希望の言葉です。大切にします。

ごあいさつ

丹下坂心理カウンセラー
高島心理カウンセラー

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