【丹下坂心理カウンセラーのつぶやき】

三途の川

丹下坂心理カウンセラー

2011/01/26

2004年、当時私は、スクーバダイビングのインストラクターとして、フィリピンはマクタン島、というところに勤務していた。
セブ島、というとわかりやすいだろうか。

千葉県に東京ディズニーランドがあるように、マクタン島には、セブ国際空港があり、まさに、フィリピンの南の玄関口の島である。

フィリピンは、タガログ語を母国語、英語を公用語としてはいるものの、80以上ある島々には、それぞれの島の言葉があり、そのどれもが類似しているものではない。

赴任して半年が経ち、ダイビングで潜るポイントも把握し、連日連夜、仕事として潜る日々が続いていた。
出張で、お隣の島、セブ島に出張することもあった。
セブアノ(セブ語)もなんとなくわかり始め、片言のセブアノで現地のスタッフとやりとりするようにもなっていた。

そんなある日、体に赤い斑点ができたのを確認した。(くらげにやられたのだろう)
頭痛が取れない。(夜遅く、朝早いし、寝不足かな)
そして、
フォークを落とすほどの極度の疲労感。(もしかして・・・)

国際ライセンス取得時に、お客様に教える講義内容の一つとして、ダイビングにおける事故・病気、というものがある。
その事故・病気の一つに、「減圧症」といって、体内に窒素の泡が残るダイビング事故がある。
講義では、
「体に赤い斑点ができますからね~。
頭痛や、極度の疲労感もでますよ~。
筆記テストにでますので、覚えておいてくださいね!」
いつも、こう話していた。

赤い斑点
頭痛
極度の疲労感

(もしかして・・・)は、かくして、「やはり!」へと変わった。
上司へ、数日間休みをもらいたい旨の電話をし、切った瞬間、意識はなくなった。

息が苦しい、呼吸が浅くなる。
ここは一体どこなのだろう?

がんばれ!自分。
意識をしっかり保て!
救急車はまだか!?

スタッフの呼びかけに応えるべく、薄れ行く意識の中で必死に闘っている。
最後の一呼吸になるであろう、皮肉にもその瞬間がわかってしまった。

「家族をたのむ!」
そう一言残し、意識は完全になくなった。
と同時に、安らぎが訪れた。
今までの人生では一度も体験したことのない、この世とは思われない心地よさ。

数メートルの川の向こうには、黄色とピンクの花が2輪ずつ、大草原の中で揺れている。
あの上で思いっきり寝ころんでみたい!!
その願望を果たすべく、川の中へ、一歩、二歩、三歩、歩みを進めた時、頭上から声がした。

「あっちへ行け!」
はっ!?

「あっちへ行け!!」
天使が、手を振り払っている。

 

とその時である、
「いてっっっっ!!」、という自分の声。
「She'll be okay」、という女性の声。

 

後日、スタッフから聞いた話である。

倒れてから、スタッフの車で病院まで搬送していたその途中、ガソリンスタンドで救急車と合流するも、すでに意識はなく、瞳孔も開き、ダメだと判断した。
念のため、救急車に移そうとしたその時、何事かと集まっていた、何百人という現地の人だかりの中から、フィリピン女性が現れ、私の体全身をマッサージし始めた。

そして、右手の親指と人差し指の間を強く押したとき、
「いてっっっっ!!」、と叫び、その女性は、
「She'll be okay」、と一言残して、またその群集の中に消えた、と。

フィリピンでは、貧困からくる事情なのであろう、癌になろうが、風邪をひこうが、体にたまった邪気を、マッサージで体外へ排出する、という療法がいまだに使われている。
最も、金銭的余裕がある人は、病院へ行くのだが・・・。
幸いにも、私の場合、それが全身の血液を巡らせる結果となったのである。

そうして、私は救急車で病院へ搬送されていったのである。


執筆者:カウンセリングMaNa 丹下坂 愛実

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