感じる、その先にあるもの

丹下坂心理カウンセラー

2018/2/26

「得も言われぬ・・・」「筆舌に尽くしがたい」「形容しがたい」
良い悪いは抜きにして、状態や心情を言葉では説明できない表現がたくさんある。

世の中に存在するどんな言葉を持ってしても、人にそれらを説明することはできない、そんな瞬間を味わったことが何度もある。

高校時代、バレー部に所属していたのだが、3年生最後の大会の時である。当時はまだラリーポイント制ではなく、サーブ権がある方が1点を取ることができ、得点も現在の1セット25点ではなく15点だった。
最終試合、ストレート(セットカウント2-0)勝ちしないと全道大会(県大会)へは進めない、そんな危ない状況にも関わらず、1セット目、スコアボードには0-7の表示が。15点制だから、半分を先取されていることになる。これはほぼ100%、負けを意味する得点差である。

ところが、である。
試合が終わってから、部員全員異口同音に唱えたことが
 「負ける気がしなかった」

当然、全員が得点差を知っている。にも関わらず、コートで戦っている部員もベンチで控えている部員も全員が
 「あ、そう、今0点なのね」

試合中は当然そんな余裕もないから、誰も勝つだ負けるだの言葉を交わしてはいない。ただただ、全員が「負ける気がしない、今0点」という同じ感覚を持ったのである。そして、それを共有したのである。
なぜ言葉を交わしていないのに、全員が同じ感覚を持ったのかは、今でもわからない。
わかるのは、言葉を超えた先には一体感があったことだけである。

最近、カウンセリング中でも同じようなことが起きている。
目の前にいるクライアントが、一生懸命に自分の相談内容を話している。
職場の○○さんが・・・、主人が・・・、うちの息子が・・・
私も一生懸命に耳を傾ける。

ここでも、「ところが」、が起きる。
一生懸命に聴いているのだが、ふっとした瞬間に、クライアントと自分の間の境界線がなくなる。
自分と他者という認識がなくなるのである。もっと言ってしまえば、自分と他者と言う人間同士の認識だけでなく、室内にあるたとえば、椅子だとか、じゅうたんだとかそういった物質との境もなくなるのである。
と同時に、クライアントの心情が大波が寄せるかの如く、一気に迫ってくるのである。

クライアントの話はどこか遠くで聴こえている感じ。日本語だから一生懸命聴いていなくても、意味は入ってくる。だからと言って、クライアントの話を聴いていないということでは全くない。
むしろ、表面的な話ではなく、クライアントの心情が聴こえてくる感じである。

うまく言葉で表現することはできない。なぜなら、それは「感じる」ことだから。
そしてその「感じる」先にあるものは、いつも、その人、周りとの一体感なのである。
クライアント自身も気づいていない心情と一体になることもある。

この人、本当はどう思っているんだろう?
問題はなに?
どうやって解決したらいい?

カウンセラーなら、誰もがそう思うのだろう。だが、最近の私は違う。
耳で聴くのでもなく、技術で解決するのでもなく、ただただ目の前の人を「感じる」だけである。

オカルト的に聞こえるだろうか・・・

さて、高校生活最後の大会の最後の試合。結果、どうなったかって?
見事に2-0のストレート勝ち!!

 

 

 

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