【コミュニケーション】

函館市公立学校SCが伝える不登校児との関わり方

丹下坂心理カウンセラー

2021/8/14


「子どもとどう接すればよいのかわからない」
「子どもが何を考えているのかわからない」
「相談したいが、どこで、誰に相談できるのかわからない」
「将来が不安・・・」

 

不登校の子どもを抱える保護者の悩みは、常に重石のように、頭にあるのではないでしょうか。

 

15年以上に渡り、不登校の子どもやその保護者と向き合ってきました。また、現役の公立小中学校カウンセラーでもある心理カウンセラーが、
「不登校になる原因探しではなく、今、どうしたらよいのか?」
をお伝えしていきます。
 

1 不登校の子どもの心理

1-1 「行きたいけど、行けない」


実際の現場で不登校の子ども達の話を聞いてみると、決まってこう言います。

 

「学校に行きたくないわけではない。行きたい気持ちはあるけれど、行けない。」

 

学校に行きたくないわけでもなく、ましてや仮病を使っているわけでもなく、行きたい気持ちはあるのに、体が言うことを聞いてくれない状態にあるのです。
 


 

1-2 「行けない自分はダメな人間だ」


そして、子ども達は、こう続けます。
 
 
「普通に友達を作って、話したり、勉強したり、部活をがんばったりしたいけど、できない。みんなと同じようにできない自分はダメだ!と自分を責めてしまう。」
 
 
周りの人と自分を比較しています。そして、みんなと同じようにすることができない自分を責めています。
 

1-3 「親の期待に応えたい」

 

さらに、できない自分を責めながら、必死に親のために頑張ろうとしている子どもの姿があります。
 
 
「親はなんで学校に行かないのか、理由を聞いてくる。このままだと高校に行けない。将来のことはどう考えているのか、聞いてくる。親の期待に応えたいが、できない自分がいる。」
 
 
学校に行けない子ども達も、保護者と同じくらい、いや、それ以上に不安を抱えています。
「このままだと、わたし、どうなっちゃうんだろう・・・」
 

1-4「休んでもいいと言ってほしい」


本当は、なんて言って欲しい?、そう聞くと、こういう返事が返ってきます。
「本当は、学校を休んでもいいと言って欲しい。そう言ってもらえると、すごく気持ちが楽になる。」
 
 
学校に行きたくても行けない自分、行ったら行ったでみんなとうまくやっていけない自分、かと言って家に居ても自分の居場所を探せない自分。
 
 
「もう休ませてほしい、疲れた。もう、十分頑張ったのに。」
 
 
不登校の子ども達の心は、悲痛な叫び声をあげています。
 

2 保護者の対応NG編

2-1 「なんで行けないの?」尋問編


保護者の対応を見ていきましょう。

 

お子さんにどう接しているか尋ねると、多くのご家庭から返ってくる言葉です。
「なんで行けないの?」
保護者は、子どもが学校に行けない理由を知りたがります。あなたも、そう思っていませんか?

 

「いじめに遭っているのではないか?」
「友達とうまくいっていないのではないか?」
「苦手な科目があるのではないか?」
「先生と何かトラブルがあったのではないか?」

 

子どもが学校に行かない理由探しに奔走します。

 


 

2-2 「一緒に行く」付き添い編


一人で学校に行けない子どもに、付き添って学校に行く家庭もあります。

 

教室に入れないのであれば、保健室でもいい、とにかく、学校という建物の中に子どもを送り届けようとします。

 

2-3 「学校に行かないと、将来困るよ」アドバイス編


学校に行けない理由を聞いても、子どもから答えが返ってこない。答えが返ってきたとしても、釈然とする返答ではない。そうすると、アドバイスが矢継ぎ早に飛びます。

 

「学校休み続けていると、行きづらくなるよ。」
「1時間でもいいから、授業に出てみては?」
「教室に入れないなら、保健室登校でもいいと思うよ。」
「家にばかり居てないで、少しは体を動かしなさい。」
「高校くらい出てないと、将来困るよ。」

 

いかがでしょうか?
これら全て、カウンセリング現場で、保護者の方から聞かれたセリフです。

 

3 保護者の対応OK編

3-1 自分自身の気持ちを知る


2-3のアドバイスは、保護者自身のどんな気持ちから生じているのでしょう?
全てに当てはまる気持ちは、「不安」です。

 

「このままずっと学校に行かない、そうすると、将来うちの子はどうなってしまうのだろう?」
という、未来に対する「不安」から、これらの言葉が生じています。

 

では、この「未来に対する不安」の気持ちは、なぜ、生じるのでしょうか?
それは、あなたは、我が子を愛しているからです。

 

ご近所の不登校の子に対しても、同じような気持ちが沸いてこないのが、その証拠です。

 


 

3-2 自分自身の時間を持つ


「今日は起きてくるのかしら」
「今日は学校に行けるだろうか」
「一日中、家の中にいて、精神的によくない」
「このままだと、将来、どうなってしまうのだろう」

 

朝から晩まで、頭の中は、子どものことでいっぱいではありませんか?

 

あなたがしなければならないことは、他にもたくさんあります。家事、仕事、他の家族のことだって気になりますね。

 

ちょっと今日一日を振り返ってみてください。
自分のために費やした時間は、どれくらいありましたか?

 


 

3-3 自分自身がしたい事をする


あなたが本当にしたい事は、どんなことですか?

 

ゆっくり眠ること?
ショッピングすること?
テレビを見ること?
本を読むこと?

 

子どもの事を思うのは、保護者として素晴らしいことです。当たり前、そう思っている人も少なくないでしょう。

 

我が子を思うのと同じくらい、自分自身のことも大切にしてみませんか?
その姿勢は、どうやって自分の事を大切にしていいかわからない子どもの、良いお手本となります。

 

4 外部とのつながり


自分の時間を犠牲にして、子どものため、子どものためと、朝から晩まで、気持ちも、体も使っています。

 

なのに、子どもは思うように動いてくれない。努力が報われない虚しさ、怒り、悲しさ、色々な感情が混ざり合っているあなたがいます。

 

そのまま頑張り続けるのも、もちろん一つの方法です。

 

一方で、たくさんの事例を見てきた専門家は、保護者が無理なく頑張れる方法を知っています。不登校の子どもを持つ保護者が、解決に繋がるたくさんのヒントを教えてくれたからです。

 


 

5 まとめ


子どもには子どもの人生があります。
そして、あなたにはあなたの人生があります。

 

子どもの人生も大切です。
そして、あなたの人生も大切です。

 

その人生を大切にする方法を、あなたは、どこで学んできたでしょうか?
おそらく、家庭でも、学校でも、社会でも、どの時期においても、どの場所においても、学ぶ機会はなかったと思います。

 

今、初めて、これから学ぶのです。文字通り、ピカピカの1年生です。

 


わからなくて当たり前、できなくて当たり前です。

 

そんな一生懸命に、人生を大切に生きようとするあなたを、私は心から応援します。
どうしていいかわからない、そう道に迷った時、ちょっとだけ足元を照らします。
あなたが、一人で歩いていけるようになるまで、決して、その灯を消すことはありません。

 

「お母さん、外で体動かすって楽しいよ!一緒にバドミントン行こう!」
不登校サポートこころ塾10代コースに通っているお子さんの保護者から頂いた声です。

 

さあ、今度は、あなたの番です。
お子さんと、どんな会話をしましょうか?

 

執筆者:カウンセリングMaNa 丹下坂 愛実
 

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